嘘の香り・誰かのための嘘であれ ~Cruzar Another story 4/5~
突然のことで、本人も勿論驚いたし、周りのクラスメイトも衝撃的なことだった。

突然声が出なくなる…

そのことは、私にも例外なく衝撃を与え、大学進学後、手話サークルへと入るきっかけとなった。

「真と付き合って3年だっけ?」

「うん、同じ大学入って直ぐにね。」

「まさかなー、彩歌と隣のクラスの真が付き合うとは思わなかったわー」

「なにそれ、誰と付き合うと思ってたわけ?」

「誰かは分かんないけど、真じゃなかったのは確かだわ。」

真は明るくて、優しくて、格好良いし、私が付き合えたのが夢みたいな人。

真は隣のクラスだったけど、うちのクラスに昼休み良く遊びに来ていて、それを遠くから見つめるだけで精一杯だった。

「あっ!一人思い付いた!良次とか!」

「良次って、あの良次君?」

「そう、良次!お笑い担当の真より、イケメンの良次って感じ。」

皆、良次君をイケメンと言う。
確かにイケメンはイケメンかもしれないけど、真の方がイケメンだと思うんだけど…

いや、ここで言うのは止めておこう。ただの惚気だと思われそうだ。


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