猫かぶりの柳沢くんは、独占欲が強め
……と、いうわけで。
「柳沢くん、とりあえず参考書選び付き合ってください」
帰り道、私は柳沢くんに深々と頭を下げる。
「良いけど……まさか追試6回も受けてたとはね」
「えへへ」
「笑って誤魔化さない。テスト勉強してた時にも言ったはずだけど?普段から勉強してたら直前で苦労することはないから、習慣付けとけって」
だ~か~ら~!
それができたら苦労はしないっ!
……いや、まずは習慣づける努力をするべきなんだろうけど。
「で、俺が使ってるのと同じやつが欲しいんだっけ?」
「うん。他にオススメあったらそれでも良いんだけど」
「駅の本屋は品揃え悪いから向こうのショッピングセンター行った方がいいかな。俺もちょうどシャーペンが壊れて新しいやつ買いたかったし、今から行こうか」
柳沢くんはそう言って私の手を取った。
指を絡め取られて恋人つなぎになり、私は驚いて「えっ」と声をあげる。