猫かぶりの柳沢くんは、独占欲が強め
放課後。
私は委員会の集まりがあるからと嘘を言って柳沢くんには先に帰ってもらい、ある人と待ち合わせをしていた。
「香田さん、お待たせしました」
今日も今日とて紳士っぽい笑みを浮かべるインテリイケメン高森くん。
高森くんとは、何度か会ううちに柳沢くんの目をかいくぐって連絡先を交換することができた。
昨日、相談にのってもらいたいと約束を取り付けておいたのだ。
本当は近くのファミレスにでも入って、来てもらったお礼に何か奢れたら良かったけど、いかんせん金欠なもので。
パックのジュースを携えて学校の屋上へ……というスタイルで許してもらう。
「それで、相談したいことというのはやっぱり奏多のことですか?」
高森くんはパックのオレンジジュースを受け取りながら聞いてきた。さすがの察しの良さ。
「うん」
「それより良いんですか?聞きましたよ、恋人のフリを辞めて本当に付き合いだしたって。今僕と二人でいること、あいつは知らないでしょう?」