猫かぶりの柳沢くんは、独占欲が強め
……このような調子で私たちは、お互いの学校の様子だとか趣味だとかおすすめの化粧用品だとか、何てことのない女子トークで大いに盛り上がる。
何だ、茉莉花ちゃんは本当に他意なく私と友達になってくれるんだ。そう安心した。
だけど──
しゃべるうちにすっかり冷めたペスカトーレをたいらげ、さらに追加で注文したデザートが届いた頃、とうとうその話題が出た。
「あのね葉澄ちゃん。葉澄ちゃんの彼氏のこと……なんだけど」
どきりとして、口の中に入れたばかりの生クリームを味わうことなく飲み込んでしまった。もったいない。
私は水を一口飲んで、「柳沢くんのこと?」と緊張しながら聞き返す。
「うん。かなくん……柳沢奏多くんのこと。彼とは、いつから付き合ってるの?」
純粋に恋バナを楽しもうというテンションではない。
明らかに、探りを入れられているのがわかった。
「今年の二学期になってから、かな」
偽装カップル期間を含めるべきか迷って、そんな曖昧な答えになる。