猫かぶりの柳沢くんは、独占欲が強め
「何だ、まだそんなに長くなかったんだ」
あ、今すごいホッとした。
あからさまな反応をした茉莉花ちゃんは、自分でもそれに気付いたのか誤魔化すように質問を重ねる。
「かなくんは、わたしのこと何か言ってた?」
「元同級生だってことだけ」
「そっか。まあ、言わないよね……ていうか言えないよね。恋人にわたしの話なんて
茉莉花ちゃんはせっかくのデザートをまだ一口も食べようとせず、うつむいて左手首をぎゅっと掴む。
「わたしね、昔……かなくんのこと、好きだったんだぁ」
思わず「知ってる」と言ってしまいそうになったのを飲み込む。
「あ、もちろん今は全然そんな気持ちないよ。安心して」
「うん……」
「でもね、かなくんに恋したことがあって、知ってるからこそ言いたいの。……彼と付き合うのは、やめた方が良いよ」
私の目をまっすぐ見つめる茉莉花ちゃんから笑顔が消えた。