猫かぶりの柳沢くんは、独占欲が強め




「柳沢くん、前に『好きっていうのが全部例外なく気持ち悪い』みたいなこと言っていたの。だから──柳沢くんは、自分に興味がない私のことは好きでも、私が好きになっちゃったら私のことも気持ち悪く感じるんじゃないかって、どこか不安だったんだと思う」




その不安は、正直今も消えない。

だけど、もう決めた。




「その場合も覚悟した上で明日、柳沢くんに会ったらちゃんと好きだって言う」




お試しで付き合うことになって、本当に答えを出すと決めた一ヶ月の期限までは、まだ数日ある。

期限までに自分の気持ちに気付くことができて、本当に良かったと思う。




「ごめんね高森くん、こんなどうでもいい話して。でも、誰かに聞いてもらいたくて」


「いえ……。参考までに、香田さんはあいつのどこに惹かれたんですか?皆の前では猫を被ってますが、本当のあいつはあまり好感の持てる奴ではないでしょう?」


「あはは、まあね。最初は本当に印象悪くて、柳沢くんを好きになるのだけはありえないって思ってたんだけどなぁ」



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