猫かぶりの柳沢くんは、独占欲が強め
本当、いつの間に。
「きっかけは、私が強いってこと知っても引かなかったから……なのかも。それでいて、強いからって偏見なしでちゃんと守ってくれようとするところとか」
思いがけず山内と再会したとき、何も言えなかった私の代わりに言い返してくれたり。
文化祭でナンパ男に絡まれたとき、本気で心配して助けてくれたり。
そういうところが、好きなんだ。
「……香田さんが強いことを知っていて、それも含めて魅力的だと思っているのは、僕も同じなんですけどね」
高森くんが静かに呟いた。
「え?」
「前は明らかに奏多の片思いで、これなら僕にも付け入る隙があると思っていました。でも、今の香田さんの表情を見てわかりました。もうそんな隙、一ミリも残っていない」
高森くんは私を見て軽く微笑む。
「香田さんの想い、応援しています。……明日万全の体調で気持ちが言えるよう、そろそろ家に帰って温まった方が良いんじゃないですか?」
「そ、そうだね」