猫かぶりの柳沢くんは、独占欲が強め
言葉が出なかった。
だけど、私の中で全部が繋がった感じがした。
……そりゃあ高森くんが勝手に話せることでもないし、柳沢くんも話すことを拒否するわけだ。
「好きな人を助けたいって思うのは当然じゃん。だから、かなくんがいじめられてるのを見てられなかった。……ごめん、違うね。ここで助けたら、ポイント稼げるなって打算で庇った」
「うん……」
「だけど、それでかなくんの気を引くことはできなかった。それどころかいじめのターゲットがわたしに移った。かなくんはそんなわたしを助けてはくれなかったから、彼に本当に好かれてないんだなって、それも落ち込んだ」
「……その傷、もう痛くないの?」
掛けるべき言葉がわからなくて、ちょっと的外れなことを聞いてしまう。
もうかなり時間が経ってるし、跡だけだからたぶんもう痛みはないんだろう。
そう思ったけど、茉莉花ちゃんは「たまに痛むよ」と答える。