猫かぶりの柳沢くんは、独占欲が強め



頭の中が「?」でいっぱいになる。

え?あれ?

茉莉花ちゃん、柳沢くんのことが好きじゃなかったの?忘れられないんじゃなかったの?


てか、え?私?




「わたし、自殺未遂の後ぐらいから、ずっと男性不信でね。高校は共学で頑張ってるんだけど、街中で男の人に声掛けられるのとか、本当に怖くて。あの日も、怖くてたまらないのに、通り過ぎる人誰も助けてくれなくて」




私が二人の男から茉莉花ちゃんを助けた日の話をしているのは、すぐわかった。




「そんな中で颯爽と現れて、大きな男の人を簡単に倒して助けてくれた葉澄ちゃんは、本当に格好よかった。なのに名前を聞く前にいなくなっちゃって。……実はずっと探してたの」




そっか。あの時は知り合いに見られていないかということばかり気にしていたから。




「この前やっと見つけて、すごく嬉しかった。彼氏がいるってすぐにわかってショックだったけど。……でもその彼氏が、あの柳沢奏多くんだったって知って、チャンスだと思った」




< 188 / 217 >

この作品をシェア

pagetop