猫かぶりの柳沢くんは、独占欲が強め
△過去△
*
柳沢くんの家に行ったのは、テスト勉強をしたあの日一回きり。
記憶を頼りに歩いて、見覚えのある家の前まで来た。
私は大きく深呼吸をしてインターホンを押した。
女性の声で返事があったので、柳沢奏多くんのクラスメイトですと名乗る。
「ごめんなさいね。あの子まだ帰ってきていなくて」
ドアを開けて出てきた女性は、柳沢くんそっくりの美人。たぶんお母さんなんだろう。
「家にいないんですか?」
「そうなの。明日から冬休みだから早く帰って来るかと思ってたんだけど……」
違和感がある。
まるで、柳沢くんが普通に学校へ行ったと思っているような口ぶりだ。
朝、普通に学校へ行くフリをしてどこかへ出かけたんだ。
……どこに?
うぅ、頑張れ、考えろ香田葉澄!
柳沢くんは、嫌なことがあった時はどこへ行く……?
その時、ふと思い出した。
『どこ行くの?』
『最上階』
『最上階って……展望台?』
柳沢くんの家に行ったのは、テスト勉強をしたあの日一回きり。
記憶を頼りに歩いて、見覚えのある家の前まで来た。
私は大きく深呼吸をしてインターホンを押した。
女性の声で返事があったので、柳沢奏多くんのクラスメイトですと名乗る。
「ごめんなさいね。あの子まだ帰ってきていなくて」
ドアを開けて出てきた女性は、柳沢くんそっくりの美人。たぶんお母さんなんだろう。
「家にいないんですか?」
「そうなの。明日から冬休みだから早く帰って来るかと思ってたんだけど……」
違和感がある。
まるで、柳沢くんが普通に学校へ行ったと思っているような口ぶりだ。
朝、普通に学校へ行くフリをしてどこかへ出かけたんだ。
……どこに?
うぅ、頑張れ、考えろ香田葉澄!
柳沢くんは、嫌なことがあった時はどこへ行く……?
その時、ふと思い出した。
『どこ行くの?』
『最上階』
『最上階って……展望台?』