猫かぶりの柳沢くんは、独占欲が強め
私の答えに、柳沢くんは小さく「そう」と呟いた。
「茉莉花ちゃんに聞いたよ。中学の時のこと」
このブランコは、公園の中でも一番景色がよく見える場所みたいだ。
たくさんの家々や行きかう人々、遠くにはキラキラ輝く海も見える。
地面を蹴ってちょっと揺らしてみれば、風と一体化してその景色の中に溶け込めるのではないかと錯覚できる。
「茉莉花ちゃんは色々教えてくれたけど……私は、柳沢くんの口からも聞きたい。私の知らない柳沢くんを教えて欲しい」
「『全部話す』って約束、今さら破るつもりはない。だけど……面白い話ではないよ。マリカからある程度聞いたならわかってると思うけど」
「うん。それでも」
「本当のことを言えば、話したらハスに嫌われるんじゃないかっていうのもまだ不安だ」
「嫌われる?……ふっふっふ。安心して!私の柳沢くんに対する好感度は、女の子にもらったラブレター破り捨ててるのを見た時で底辺だったから!今さら何聞いたって、あの時より下がることはないって保証する!」