猫かぶりの柳沢くんは、独占欲が強め
自信満々に言うと、柳沢くんはしばらくポカンとして、ため息をついた。
「そういえばそうだったね。『最低』って言われたんだった」
「言った言った」
あの時の私、柳沢くんに敵意むき出しだったなぁ。
でも単純だから、なんか上手く丸め込まれて偽装カップルなんてやらされて。
「俺さ、本当の性格がバレて、あんたが思ってる以上に焦ってたんだ」
柳沢くんは、目の前に広がる景色に目を向けたまま話し始めた。
「昔は今みたいなキャラ作らずに普通に過ごしてた。まあ何となく想像できるかもしれないけど、思ったことそのまま言うし、考え方ひねくれてるし。友達だったのは甚ぐらいで、あいつもクラス一緒になったことはなかったから、基本孤立してたよ」
ひねくれてる自覚はあったのか。
……というのは思っても口に出さない。
「で、小6の時かな。ただの孤立がいじめに変わった。マリカに告白されたのもその頃」