猫かぶりの柳沢くんは、独占欲が強め
「俺に好きって言ってもらえたら元気が出るって、そう言われた。だから俺は心にもない『好き』を何回も何回も、必死になって言った。……マリカがこの状況に耐え続けてくれたら、俺がまたいじめられることはないって、思ったから」
生意気でひねくれて気が小さい。救いようがないな、と柳沢くんには自嘲気味に笑う。
その後は、茉莉花ちゃんから聞いた通り。
耐えられなくなった茉莉花ちゃんは自殺を図り、命に別条はなかったものの転校することになった。
そして柳沢くんは、それを深く悔やんだ。茉莉花ちゃんのことは自分が殺しかけたも同然だと。
「当時よく見た夢があるんだ。マリカが自殺を図って、そのまま死んでしまったって連絡を受ける夢。……昨日、教室の黒板に書かれた言葉を見て、その夢がフラッシュバックした。そして夜には何年かぶりにその夢を見た」
今日学校に来なかったのはそれが原因なのだそう。
あの落書きがまだ残っていたら、何度だって思い出してしまうから。