猫かぶりの柳沢くんは、独占欲が強め
「どう?嫌いにならなかった?好きだって言ってくれる人に助けてもらいながら、自分は見捨てて、おまけにその想いを“怖い”なんて思うような人間」
「……よ」
「え?」
「柳沢くんは、もう自分を許しなよ!」
柳沢くんは、ギョッとしたような顔をする。
「……何で泣いてるわけ?」
本当だよね。何で私が泣いてるんだろう。
でもだめ。止まらない。
「確かに茉莉花ちゃんを助けられなかったのは、柳沢くんの弱さだったかもしれない。だけど、それが悔しくて、自分を変えようと頑張ったんでしょ⁉」
好きになられるのが苦痛ながら、皆に好かれる人間を演じ続けた。
同じことが起きても、今度は守ることができる、そんな立場の人間になろうとしてたんだ。
「茉莉花ちゃんは柳沢くんを助けて欲しいって言ってた。茉莉花ちゃん、もう全然恨んでなんかない。柳沢くんのことを許せてないのは、柳沢くん自身だけなんだよ!」
「……でも」
「そもそも悪いのはいじめた人たちでしょ?どうしてその人たちそっちのけで自分を責めるの?お願い、もうこれ以上……私の好きな人のことを、悪く言わないでよ」