猫かぶりの柳沢くんは、独占欲が強め
本当は今すぐに言いたい。まあ顔は良いけどその他が最悪だよって。
だけどもしそんなことを言おうものなら、必死に隠し通してきた中学時代の私が、きっとあの動画と一緒に瞬く間に拡散されてしまう。
「ていうか葉澄さ、何ともないの?」
なっちゃんが少し心配そうに聞いてきた。
「え?何が?」
「この学校の超人気者、柳沢奏多に彼女ができました~なんて、注目の的じゃない?嫌がらせされたり、体育館裏に呼び出されたりだとかいう少女漫画的定番は食らってない?」
「あはは、やだなあなっちゃん。そんなことされてないよ。変なことと言えば机に油性ペンで悪口書かれたり、靴箱に虫入れられたぐらいだもん」
「……あの、葉澄サン。そういうの嫌がらせされているっていうのよ」
「?」
「びっくりするわまさかのダメージゼロ?てかその机とか虫とかどうしたのよ」
「どうしたって……机の落書きは持ってた除光液で普通に消えたし、靴箱の虫はちゃんと外の茂みに帰しておいたけど」