猫かぶりの柳沢くんは、独占欲が強め



山内は、デリカシーの欠片もなくそんな情報を話しながら、まじまじと柳沢くんの顔を観察している。




「てか連れ、なかなかのイケメンくんじゃん。香田の彼氏……なわけねーか。はは……」


「そうですよ。少し前から付き合ってるんです」




柳沢くんは、王子様スマイルを浮かべたままあっさりと答えた。


……驚いた。

確かに付き合ってるフリは「対うちの高校の人間」限定ってわけじゃないんだけど……。

柳沢くんにとって、初対面の山内に対して付き合ってるフリをするメリットなんて一つもないのに。


山内は柳沢くんの答えに面食らったように「え……」と声を漏らす。




「嘘だろ、何かの罰ゲームか?」


「まさか。俺から付き合って欲しいって言ったんですよ」


「っ、わ、わかった。今の見た目に騙されてこいつの本性知らないんだろ。こいつなぁ、中学のとき見た目に一ミリも気を使わない男みてーな女でさ。体型ももっと太かったしな。その上、戦わせたら大の男でも余裕で倒す、まじのゴリラだったんだぜ?」


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