猫かぶりの柳沢くんは、独占欲が強め



高森くんに付いて行ってたどり着いた場所は、いつの日か柳沢くんに連れ込まれたのと同じような空き教室の前だった。


教室のドアに手を掛けた高森くんだったけど、何を思ったのか、私の方を振り返って小声で言った。




「すみません香田さん、一つ確認したいことがあるので協力してもらえますか」


「え?うん、良いけど……」


「僕と手を繋いでください」


「手?」



よく意味がわからないまま手を出すと、高森くんにぎゅっと掴まれた。

それから彼は勢いよく音をたてながらドアを開けた。




「ただいま奏多」


「遅かったね。いったいどこの自販機まで行ってたんだよ」




教室の奥にいる、スマホを触りながら悪態をつく人影が顔を上げた。

その人──柳沢くんと目が合う。




「なっ……ハス……」




まるで幽霊でも見たかのような反応をされた。

かと思えば、今度は機嫌悪そうに眉間に皺を寄せて、高森くんに目を向けた。




「甚、何のつもり?」



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