猫かぶりの柳沢くんは、独占欲が強め



さらに何か言おうとした柳沢くんが、ふと視線を下げて、目を見開いた。

そして、つかつかと速足でこっちに近づいてきて……



「離せ」



目的のわからないまま繋がされていた私の手を、高森くんの手から引き離した。

高森くんはそれを見た瞬間、肩を震わせて笑い始めた。




「ふっ……奏多、余裕無さすぎだ」


「は?彼女が他の男と手を繋いで現れた場合の正常な反応だろ?」


「でも、奏多と香田さんは本当に付き合ってるわけじゃない。……だろ?」




えっ……、と声を上げそうになった。

ば、バレてるけど柳沢くん⁉


だけど柳沢くんは特に慌てる様子もなく肩をすくめた。




「ふん。何だ、やっぱりわかってたのか」


「さすがにわかる。どうせ女子から告白されるのにうんざりして、彼女がいるって設定にしとこうとか思ったんだろ?香田さんが何でそれに協力してるのかはわからないけど、奏多のやり方を考えたら、弱みでも握ったのか」



エスパーだ。エスパーがいる。

それとも付き合いが長いとそれぐらいわかるものなの?



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