猫かぶりの柳沢くんは、独占欲が強め
どうにか咀嚼して飲み込むと、ふうっと息をつく。
「柳沢くんは私を殺す気なのかな」
「うるさい。……こっちの気も知らないくせに」
「え?何?殺意ならしっかり伝わってきたよ??」
「……」
柳沢くんは何やら残念なものでも見るような目で私を見る。
それからゆっくりと、私の顔に手を伸ばしてきた。
「……むかつく」
温かな指先が、私の頬をすっと撫でた。
手はそのまま私の顔を包み込むような形で止まり、親指が柔らかく唇に触れた。
「あの……」
謎の行動に戸惑いが隠せず声を掛けようとしたけど、柳沢くんの目を見た瞬間それが引っ込んでしまった。
その瞳が、妙に熱を帯びた色をしている気がしたのだ。
……何だろう。この雰囲気。
そう思っている間に、今度は彼の端正な顔がゆっくり近づいてきた。
「っ、柳沢くん?」
かかっていた呪いが解けたように、いきなりぱっと声が出た。