猫かぶりの柳沢くんは、独占欲が強め
初めて会ったときに言っていた話だ。
一人で静かに過ごしていたのに、柳沢くんが来るようになって迷惑している……といった感じのことを言っていた気がする。
「そんなこと、一人で過ごすのが好きじゃないとしないよ。頭が良いせいで周りに敬遠されて孤立するっていうのも、高森くんにとってはそんなに辛いことではなかったんじゃない?」
あの柳沢くんが素直に悩みを相談できる人であり、廊下でぶつかっただけで本を運ぶのを手伝ってくれたりするような人。
まだ今日で話したのは二回目だけど、高森くんが他人本位で行動できるような人だというのは十分伝わってきた。
きっと、一人でいることは辛くなかったけど、学力や目付きでクラスメイトを委縮させてしまっていることが辛かったんじゃないかな。
そんなことを一生懸命説明した。
「……ってまあ、想像で勝手に言ってるだけなんだけどね。そういう理由の方がしっくりくるなあって思っただけ」