猫かぶりの柳沢くんは、独占欲が強め
不思議そうに瞬きを繰り返す高森くんに、少し我に返った。
なんか勢いで呼び止めちゃったけど、それが何って話だよね。
「ごめん、それだけ」
「……奏多が絆された理由がわかった気がします」
高森くんが、ふっと表情を和らげた。
「香田さん、よく“人たらし”って言われませんか?」
「ひとたらし?」
私の頭の中に浮かんだのは、甘くて艶のある醤油ベースのたれをたっぷり付けたお団子。
……それはみたらし。
「マイナスイオン系女子とはよく言われるけど」
「それも言い得て妙ですね。香田さんの近くにいるだけで心が安らぎ、温かな気持ちになる。たぶんそういった意味ですね」
「あ、いやぁ、見た目と名前の問題じゃないかと思うけど」
メイクは清楚系を極めてるし、名前の“葉”に“澄む”というのが自然とか森の中をイメージさせるから。
だけど高森くんは笑って首を振る。