もふもふ魔獣と平穏に暮らしたいのでコワモテ公爵の求婚はお断りです
「私を独占するのはお嫌ですか?」

 ぐ、とグランツが言葉に詰まる。

「その言い方は……なんというか、卑怯だ」

「そうでしょうか?」

「いろいろな意味を込めているように聞こえる。嫌などと言えるはずがないじゃないか」

 グランツがシエルに顔を寄せ、そっと額を重ね合わせた。

「貴女はひどい人だ。私が誰を好きか知っているくせに、そんな意地悪な質問をする」

 彼が唇を開くたびに吐息が触れ、シエルの鼓動を高鳴らせる。

「もうひとつ、質問してもいいですか?」

「私が答えられるものにしてくれるのなら」

「では……その、先ほどなにをしようとしたのか教えてください」

「先ほど?」

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