もふもふ魔獣と平穏に暮らしたいのでコワモテ公爵の求婚はお断りです
「グランツ様にしていただけるなら、どんなことでもされてみたいです。たとえ不誠実でも、私にしたいと思ったことなのですよね?」

「どうして貴女は、時々どうしようもなく積極的になるんだ」

 激しく葛藤したグランツは、散々悩んだ末に答えを出した。

 シエルの左手を取り、細い薬指に口づけを落としたのだ。

「貴女の無知に付け込むような真似はしたくない。だから今はこれだけで……」

 明確な恋人関係にない相手だからと、本心はともかく控えめに伝えたグランツだったが、葛藤を知らないシエルは初めての感触に恍惚とした笑みを浮かべた。

「これ、気持ちいいですね」

「きっ、気持ちいい!?」

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