もふもふ魔獣と平穏に暮らしたいのでコワモテ公爵の求婚はお断りです
グランツの声が動揺のせいで裏返る。
「はい。なんだかむずがゆくて……。心臓が壊れてしまいそう。きっとグランツ様がしてくださったからですね。もしよかったら、もう一度してくれませんか?」
甘い口づけのぬくもりを純粋に喜ぶシエルだが、言葉の選択を絶望的に間違えている。
グランツはたっぷり五つ数えた後、騎士としてふさわしい答えをなんとか口にした。
「これ以上は私のためにもやめておいたほうがよさそうだ。頼むから、もう誘惑しないでほしい」
容赦なく敵を屠り、ただひとりを守るために迷いなく動いた騎士とは思えないほど、弱気でか細い懇願だった。
「はい。なんだかむずがゆくて……。心臓が壊れてしまいそう。きっとグランツ様がしてくださったからですね。もしよかったら、もう一度してくれませんか?」
甘い口づけのぬくもりを純粋に喜ぶシエルだが、言葉の選択を絶望的に間違えている。
グランツはたっぷり五つ数えた後、騎士としてふさわしい答えをなんとか口にした。
「これ以上は私のためにもやめておいたほうがよさそうだ。頼むから、もう誘惑しないでほしい」
容赦なく敵を屠り、ただひとりを守るために迷いなく動いた騎士とは思えないほど、弱気でか細い懇願だった。