もふもふ魔獣と平穏に暮らしたいのでコワモテ公爵の求婚はお断りです
 グランツが反対したのは、ラベーラとの結婚というよりもアルドの結婚である。よく知る人間だからこそ、こんな男を『セニルースの聖女』と結びつけてはならないと苦言を呈したのだ。

 いくら公爵の身といっても、王族の結婚に物申せる立場ではない。だからこれはアルドとグランツの友人同士としての話だったのだが、ラベーラは想像以上に深刻に受け止めたようだった。

 堅物の忠臣(しんゆう)がいるのだと冗談のつもりで話したのに、彼女はことあるごとにグランツの言葉を繰り返す。

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