もふもふ魔獣と平穏に暮らしたいのでコワモテ公爵の求婚はお断りです
この気持ちを恋と呼ぶのなら

 夏が終わり、秋に差し掛かる。

 青々と茂っていた木々が赤や黄色に色づき、吹き抜ける風からも夏の気配が消え去った頃、グランツは城に出頭要請を受けていた。

 国王の間にて、彼はいつもするように胸に手を当て、膝をついている。周囲には銀の槍を持った騎士が並び、物々しい空気が辺りを包み込んでいた。

 かつん、と音がしてもグランツは顔を上げず、なぜ呼び出されたのかと疑問を発しもしない。

「グランツ・フォン・ノイフェルト公爵。貴殿にアルド・ウィン・リンデン殿下の暗殺疑いがかかっている」

 国王のそばに控えた従者が重苦しく告げるも、グランツは口を閉ざしたまま開かない。

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