もふもふ魔獣と平穏に暮らしたいのでコワモテ公爵の求婚はお断りです
 アルドが薬を慎重な手つきで布に戻し、革袋の中へ入れる。

「ラベーラ王女は偽の聖女で、シエルが本物だったと言うんだな。そして今回の事件は、セニルースで起きたものによく似ていると」

 グランツが厳しい表情で眉間にしわを寄せた。

「シエルの口を封じようと思うわけだ。まさか偽物の聖女というだけでなく、そんな真似までしていたとは。貴族が殺された理由はわからないが、シエルを殺そうとしたように、王女殿下にとって都合が悪かったのではないだろうか」

「俺の中ではほぼ黒だな。いろいろ繋がってしまった」

 そう言うと、アルドは忌々しげに舌打ちを漏らした。

< 286 / 477 >

この作品をシェア

pagetop