もふもふ魔獣と平穏に暮らしたいのでコワモテ公爵の求婚はお断りです
絹のシャツに黒のジャケット。金糸と銀糸をふんだんに使っているにもかかわらず、少しも下品さがない。左肩にかけたマントが揺らめくと、会場にいる令嬢たちが悩ましげに溜息を洩らした。
普段、グランツは鎧を身に着けていることが多い。そのため、人々はもの珍しそうに公爵らしい装いの彼を見てささやいた。
「殿下の暗殺を企てたと聞きましたけど……」
「あら、別の方のお話だったのではなくて? そうでなかったら、ここへ招待されるはずがないわよ」
「最近、よく領地の外へ出向いているそうよ。キルヒェに恋人がいるとか……」
妙な噂が耳に入っても、グランツは堂々としたものだった。
普段、グランツは鎧を身に着けていることが多い。そのため、人々はもの珍しそうに公爵らしい装いの彼を見てささやいた。
「殿下の暗殺を企てたと聞きましたけど……」
「あら、別の方のお話だったのではなくて? そうでなかったら、ここへ招待されるはずがないわよ」
「最近、よく領地の外へ出向いているそうよ。キルヒェに恋人がいるとか……」
妙な噂が耳に入っても、グランツは堂々としたものだった。