もふもふ魔獣と平穏に暮らしたいのでコワモテ公爵の求婚はお断りです
「そういえば、またしばらく会いに来られなくなるかもしれない」
きれいになったミュンを木桶から出したグランツが言う。
シエルはイルシャを撫でていた手を止め、不安げな顔をした。
「なにかあったのですか?」
「国境付近が少し騒がしくてな。最近おとなしくしていたワレスの仕業のようだ」
ワレスとはリンデンの西、セニルースの北西に位置する小国だ。リンデンとは友好的とは言いがたい関係で、昔から小競り合いが絶えない。ゆえに西の国境にはグランツ率いるカセル騎士団が睨みをきかせている。
「俺も長くタスローから離れるわけにはいかない。本当は君を連れていければいいんだが……」
きれいになったミュンを木桶から出したグランツが言う。
シエルはイルシャを撫でていた手を止め、不安げな顔をした。
「なにかあったのですか?」
「国境付近が少し騒がしくてな。最近おとなしくしていたワレスの仕業のようだ」
ワレスとはリンデンの西、セニルースの北西に位置する小国だ。リンデンとは友好的とは言いがたい関係で、昔から小競り合いが絶えない。ゆえに西の国境にはグランツ率いるカセル騎士団が睨みをきかせている。
「俺も長くタスローから離れるわけにはいかない。本当は君を連れていければいいんだが……」