もふもふ魔獣と平穏に暮らしたいのでコワモテ公爵の求婚はお断りです
手が早いわけではないようです
カンカン、と木製の椅子を作る小気味いい音が響いている。
シエルは切り株に腰かけ、せっせと家具を量産するグランツを見ていた。
(グランツ様が現れてから、そろそろ十日くらい……? 頻繁に来てくださるけど、お仕事は大丈夫なのかしら)
彼は数日おきにシエルのもとを訪れ、彼女の生活改善のために尽力している。
今日がちょうど三回目の来訪だった。
(リンデン王国の騎士団長だと仰っていたのに)
ちら、とシエルが目を向けた先には、ミディイルという名の彼の愛馬がくつろいでいる。その足もとには好奇心旺盛な魔獣の子供がまとわりついていた。