もふもふ魔獣と平穏に暮らしたいのでコワモテ公爵の求婚はお断りです
また、約束してください
内に眠る魔力を放出させたシエルはノイフェルト邸に運ばれ、十日間目覚めなかった。
明け方近くに目を覚ました彼女のそばには、治療の跡が痛ましく残るグランツがいる。
「おはよう、シエル」
恋人の無事は夢ではなかったのだと理解した瞬間、シエルの目に涙が浮かぶ。
「ぅ……あ……」
声を出そうとしたシエルだったが、うまく音にならない。堰を切ったようにあふれた涙が彼女の頬を濡らしていった。
グランツは擦り寄った彼女を右腕で抱き寄せ、落ち着くまで背中を撫でる。
「怖い思いをさせてすまなかった。そばにいられなかった俺を許してくれ」