もふもふ魔獣と平穏に暮らしたいのでコワモテ公爵の求婚はお断りです
「もうお会いできないかと思って……私、なにもできなかった……」

 しゃくり上げる彼女を自身の広い胸に押し付け、グランツが優しく言う。

「君は多くのことを成し遂げてくれたよ。人の多い王都へ行くのは恐ろしかっただろうに、よく頑張ったな。俺がこうしていられるのも君のおかげだ」

 シエルよりも早く目覚めていたグランツは、魔法による治療の甲斐があって命の危機を脱していた。

 自然治癒に任せる段階まで回復したところで、慌ただしくアルドが面会にやってきたのだが、その時に話を聞いたのだった。

< 395 / 477 >

この作品をシェア

pagetop