もふもふ魔獣と平穏に暮らしたいのでコワモテ公爵の求婚はお断りです
「本来ならば、戦場で使うような強力な薬でな。高揚感を与え、痛みや苦痛を忘れさせる効果がある。風に流せば、簡単に広範囲に広がるんだ。人の多いあの場では、嫌になるくらい効果的な代物だった」

「……つまり、あそこにいた方々は薬のせいでおかしくなっていたのですよね。罪を咎められるようなことには……?」

「ならない。すべて元王女殿下の手によるものだからな。……あんな目に遭っておきながら、あの者たちを庇うのか?」

 シエルはグランツの質問にうなずきを返した。

「本意でないのなら仕方がありません。……すべてはラベーラ様が企てたことでしょう?」

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