もふもふ魔獣と平穏に暮らしたいのでコワモテ公爵の求婚はお断りです
 ふと、グランツがシエルを振り返った。

「そういえばこの子の父親はどこにいるんだ?」

「わかりません。いつの間にか生まれたようで詳しくは……」

「まあ、魔獣がほかの生き物と同じく、両親を必要とするかもわからないしな。もしかしたら父親がいなくても子を生めるのかもしれない」

 子魔獣が地面にひっくり返され、お腹をわしゃわしゃと撫でられている。

「グランツ様は魔獣が怖くないのですか」

 愛くるしい子魔獣だけならばともかく、グランツは母魔獣とも恐れずに接しようとする。普通の人間ならばそうはいくまいと、シエルは再び彼に尋ねた。

「今日はよく話しかけてくれるんだな」

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