もふもふ魔獣と平穏に暮らしたいのでコワモテ公爵の求婚はお断りです
 シエルにしては頑張って大きな声を発したのだが、すぐにかき消されることとなる。

「お菓子!?」

「俺たちのために!?」

「半年振りの甘いものだ!」

「おおお女の子の手作り……!?」

 異様な熱気に包まれ、シエルは思わず後ろに足を引いていた。

 グランツがやれやれと苦笑しながら、そっと彼女の腰に腕を回して支える。

「だから用意してやらなくてもいいと言ったのに。こいつらは優しくすると、すぐ調子に乗るんだ」

 シエルは周囲の男たちとグランツを交互に見て、困ったようにはにかんだ。

「ですが、以前おっしゃったでしょう? 皆さん、甘いものがお好きだって」

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