もふもふ魔獣と平穏に暮らしたいのでコワモテ公爵の求婚はお断りです

　だが、非難されている張本人はまったく堪えた様子がない。

　それどころか、魔女と呼ばれた彼女を守るように背に庇った。

「俺が結婚相手を見つけたら祝福すると、散々言っていたのはなんだったんだ」

「相手によるだろ！　ちょっとは考えろ！」

　そうだそうだと騎士たちが賛同する。

　勝手に話が進む中、彼女はそろりと男の背から離れた位置に移動した。

「あの……」

　人と話すのは本当に久しぶりで、緊張のせいか声がかすれてしまう。

「せっかくのお誘いですが、お断りさせていただきます。あなたとは初対面ですし、知らない方の求婚にはお応えしづらいです」