初恋の味は苦い
小倉あんがたっぷりと乗ったトースト。
落ち着いた照明の静かな店内。
風情あふれる昔ながらの喫茶店。
正面に座る祥慈の顔を直視できない。
「食べなよ」
そう彼は笑う。
なぜこんなに何事もなかったかのように振る舞えるんだろう。
私は合わせる顔がないのに。
昨晩の方が私にとっては黒歴史で、全然小倉あんの甘さを感じない。甘さ控えめに作られているのだろうけど。
さっきから祥慈は駅で時間潰しするのにコレがいいんじゃないか、とか、ダイマツ精機のこととかお気楽なことばかり話してるけど、私は全然頭に入ってこない。
彼は正気か?
「ねえ」
突然、祥慈が声のトーンを変える。
「気にし過ぎじゃない?」
変わらないいつもの優しい笑顔。
「さっき言ったじゃん、昨日のあれは事故だし、俺たちは何もないし、ただの友達って」
淡々と語られる言葉たちが、全く私の頭に入ってこない。
「それって普通なの?祥慈そう言って、何もないとかそういう事言うけど、実際昨日起こったわけじゃん」
「だから昨日のは事故じゃん、お互いお酒も入ってたし」
「うん」
知らないうちに皿の上からすっかりトーストが姿を消していた。
分かっている。
私は全然祥慈のことを友達と捉えられていない。
たぶん私は好きになるし、こういう風にご飯を食べるだけで舞い上がるし、デートだと思ってしまう。
落ち着いた照明の静かな店内。
風情あふれる昔ながらの喫茶店。
正面に座る祥慈の顔を直視できない。
「食べなよ」
そう彼は笑う。
なぜこんなに何事もなかったかのように振る舞えるんだろう。
私は合わせる顔がないのに。
昨晩の方が私にとっては黒歴史で、全然小倉あんの甘さを感じない。甘さ控えめに作られているのだろうけど。
さっきから祥慈は駅で時間潰しするのにコレがいいんじゃないか、とか、ダイマツ精機のこととかお気楽なことばかり話してるけど、私は全然頭に入ってこない。
彼は正気か?
「ねえ」
突然、祥慈が声のトーンを変える。
「気にし過ぎじゃない?」
変わらないいつもの優しい笑顔。
「さっき言ったじゃん、昨日のあれは事故だし、俺たちは何もないし、ただの友達って」
淡々と語られる言葉たちが、全く私の頭に入ってこない。
「それって普通なの?祥慈そう言って、何もないとかそういう事言うけど、実際昨日起こったわけじゃん」
「だから昨日のは事故じゃん、お互いお酒も入ってたし」
「うん」
知らないうちに皿の上からすっかりトーストが姿を消していた。
分かっている。
私は全然祥慈のことを友達と捉えられていない。
たぶん私は好きになるし、こういう風にご飯を食べるだけで舞い上がるし、デートだと思ってしまう。