初恋の味は苦い
苦いチョコアイス
契約関係の書類がまとまらず、時計は20時を回る。
定時で帰ってた頃が懐かしい。
優希が荷物をまとめて私の背後を通りかかる。
「お先するね」
「うん、お疲れ様!」
「りつも無理しないようにね、病み上がりなんだから」
「もうすっかり治ったよ」
あの発熱騒動から1週間以上は過ぎていた。
名古屋以来、祥慈も私も接点を控えていて、私たちは何もないただの同僚になっている。
「あれ」と背後で優希の声がした。
「どうした?」
「これ」
優希の手には充電ケーブルに繋がれた誰かの業務用スマホ。
「ここにさっきまで多田さん座ってなかったっけ」
うちの会社は席が自由なので普通はそんなに覚えてないけど、優希の記憶は合っていた。
その席には確かに19時近くまで祥慈が座っていた。
「多田さんの連絡先分からないなあ」
優希がスマホを手に少し戸惑っている。
私は分かってるけど、ほんの少しの間、つい躊躇してしまった。
その時、私の机上でプライベート用のスマホが振動する。
ヴーヴーというバイブ音と共に画面いっぱいに表示されたのは「多田祥慈」。
焦るようにそっと電話に出る。
「りっちゃん?お疲れ様です!今どこいる?」
「今、まだ会社いた」
「良かったー!そこにさ、俺多分業務用のスマホ置き忘れてきたっぽくて・・・」
私はつい優希を見ると、優希が少し不思議そうな表情で私を見返す。
定時で帰ってた頃が懐かしい。
優希が荷物をまとめて私の背後を通りかかる。
「お先するね」
「うん、お疲れ様!」
「りつも無理しないようにね、病み上がりなんだから」
「もうすっかり治ったよ」
あの発熱騒動から1週間以上は過ぎていた。
名古屋以来、祥慈も私も接点を控えていて、私たちは何もないただの同僚になっている。
「あれ」と背後で優希の声がした。
「どうした?」
「これ」
優希の手には充電ケーブルに繋がれた誰かの業務用スマホ。
「ここにさっきまで多田さん座ってなかったっけ」
うちの会社は席が自由なので普通はそんなに覚えてないけど、優希の記憶は合っていた。
その席には確かに19時近くまで祥慈が座っていた。
「多田さんの連絡先分からないなあ」
優希がスマホを手に少し戸惑っている。
私は分かってるけど、ほんの少しの間、つい躊躇してしまった。
その時、私の机上でプライベート用のスマホが振動する。
ヴーヴーというバイブ音と共に画面いっぱいに表示されたのは「多田祥慈」。
焦るようにそっと電話に出る。
「りっちゃん?お疲れ様です!今どこいる?」
「今、まだ会社いた」
「良かったー!そこにさ、俺多分業務用のスマホ置き忘れてきたっぽくて・・・」
私はつい優希を見ると、優希が少し不思議そうな表情で私を見返す。