初恋の味は苦い
誰にも気付かれることなく、祥慈は東京の部屋を引き払っていつのまにか名古屋に引っ越していた。
もともとダイマツ精機に常駐することは決定事項だったのかもしれないけど、あまりにも早い展開に私は心の準備ができてなかったのかもしれない。
ぽっかりと心に穴が空いたような日々。
あの日の後、大幅に契約書内容を入れ替え、営業部内もしばらくは殺伐とした空気が続いていた。
しかし、定期的にプロジェクトの進捗状況が祥慈から報告され、少しずつ軌道に乗ってきたことが分かると保科さんの口から「事前に分かって良かったよ」といった安堵の言葉も聞くようになった。
気付けばすっかり冬になっていた。
吐く息も白く昇る。
各地で降雪が観測され、私はトレンチコートに裏地を付けた。
もともとダイマツ精機に常駐することは決定事項だったのかもしれないけど、あまりにも早い展開に私は心の準備ができてなかったのかもしれない。
ぽっかりと心に穴が空いたような日々。
あの日の後、大幅に契約書内容を入れ替え、営業部内もしばらくは殺伐とした空気が続いていた。
しかし、定期的にプロジェクトの進捗状況が祥慈から報告され、少しずつ軌道に乗ってきたことが分かると保科さんの口から「事前に分かって良かったよ」といった安堵の言葉も聞くようになった。
気付けばすっかり冬になっていた。
吐く息も白く昇る。
各地で降雪が観測され、私はトレンチコートに裏地を付けた。