初恋の味は苦い
おわりのザ・スタート
淡いブルーのカバーがつけられた掛け布団は、シングルベッドの足元に追いやられ、飲み掛けのレモンサワーはまだ缶に半分以上残ってるのに放置されている。
しかし私、森山りつは、そんなことどうでもいい。
今、ベッドの上で一大事が起こってるのだから。
祥慈の舌が私の口の中を舐め回す。
ゆっくり舌を抜くと、また角度を変えてキスをする。
静かに今、キスを続けながら私の服の中で背中に手を這わせ、下着のホックを外そうとしている。
少しキスを減らし、祥慈と暗闇で目を合わせる。
「いいんだよね?」
「うん、いいよ」
祥慈が笑って、そしてそのまままたキスを再開する。
下着のホックは外された。
だけど私の心は照れ臭さと嬉しさと、祥慈のことが好きな気持ちでいっぱいだった。
祥慈がゆっくりと私をベッドに横たわらせる。
私は上に重なってきた祥慈をそのまま受け入れる。
なんでこんなに幸せなんだろう。
ザ・スタート。
27の冬が始まる。