結ばれないはずが、一途な彼に愛を貫かれました ~裏切りと再会のシークレット・ベビー・ラブ~
「君のことも調べさせてもらったよ、ソフィア・グレーン殿。元、男爵令嬢といった方がいいのかな」
「なんでっ、今さら調べることなんてないのに……」
「これは私にとって重要な秘密事項だから、こちらも慎重にならざるを得ない。万一、君が私の秘密を漏らすような人物では困るからね」
「そんなことしません!」

 いくらアルベルトに捨てられたからといっても、今さら復讐しようとは思っていない。けれどアルベルトは憤慨するソフィアの様子には構わないで話を続けた。

「私が君を呼んだのは他でもない。あることを手伝って欲しいからだ。もちろん、上手くいけばきちんと謝礼もするし、君の望むようにナード畑には手をつけないでいよう」
「それは、私でなければいけないことですか?」

 ありがたい申し出だけど、あまりにも難しいことを手伝えと言われても困ってしまう。

「今は君に頼るしかないんだ」

 悲痛な顔をしたアルベルトは、ソフィアに向かい驚くべきことを口にした。

「私は、ある時期の記憶を失っている。その時期にどうやら絵描きの真似事をしていたようだ。六年前、ここセイリュースで」
「記憶を、失っている?」
「あぁ」

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