結ばれないはずが、一途な彼に愛を貫かれました ~裏切りと再会のシークレット・ベビー・ラブ~
「大胆だなんて、もうっ、笑い過ぎです!」

少し拗ねた顔をしたソフィアをアルベルトは笑いながらも食い入るように見つめていた。笑顔になったアルベルトを見ると、懐かしさが胸に広がってホッとする。

(そうよね、アルベルトはこんな風に朗らかに笑う人だったわ)

笑いがひと段落すると、アルベルトは感嘆した様子でソフィアに伝えた。

「君はとても素直な人だね。珊瑚色の髪が揺れてとても綺麗だ」

 ソフィアは久しぶりに聞くアルベルトの褒め言葉に、当時を思い出して一気に顔を赤くした。





 パンケーキを食べ終えると、二人は初めて出会った海岸へ移動した。目立つことを避けたかったため、今日は車ではなく馬車を使う。護衛の者もなるべく離れたところにいてもらい、二人は大きな木を目的にして海岸沿いを歩くと、丁度よく木陰が伸びている。

「ここで、アルベルトが海を見ながら絵を描いていました。私が話しかけると、絵をみせてくれて……」

 温かい海風がソフィアの頬を撫でる。あの頃と違いつばの小さめな白い帽子をソフィアは抑えた。

「そうだ、私はここに立って、君に握手を求めたら君は頬を染めて……、握手が初めてだった」
「ええ、そうです」

 アルベルトは自分の中の記憶に、ソフィアの姿を重ねづけるように目を細めた。だが、一瞬眉をひそめて呟きを漏らす。

「だめだ、やはり金色の髪しか思い浮かばないな……」

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