結ばれないはずが、一途な彼に愛を貫かれました ~裏切りと再会のシークレット・ベビー・ラブ~

アルベルト

 ぱっとお辞儀をしたソフィアは、逃げるようにしてその場を離れる。その後ろ姿をアルベルトは目を細めてしばらく見つめ続けていた。





 家に帰るとすぐに、ソフィアはリヒトを迎えに行った。帰りがけに買っておいたりんごをレティに渡すと、子どもたちは何だろうと顔を輝かせて袋を見つめている。

「すみませんが、また後ほど来ますのでリヒトをお願いします」
「なんだ、今夜も酒場で働くのかい? 大変だねぇ。そんなんじゃリヒト君は、うちの子と変わんないねぇ~」
「す、すみません」

 隣の奥さんは豪快なだけで、きっと思ったままを言っているに過ぎない。けれど、今のソフィアには耳が痛かった。ただでさえ、大きくなってきたリヒトにお金がかかるため、酒場で働く日を増やしている。

 そうすればするほど、隣に住むレティにお世話になることが多くなる。現にリヒトは、時々隣の家の子どもたちと自分が兄弟か何かだと思っているところがあった。

(こんなに小さいうちから、いつもいっしょだからね。わかんなくなっちゃうのかな)

 大人数の家族で過ごすことを知らないソフィアは、いつも賑やかな声の響く隣家が羨ましい。リヒトはこのまま一人っ子だろうから、今だけでも大家族を経験するのはいいのかもしれない。

 でも、出来ることならもっと一緒に過ごす時間を増やしたい。

(やっぱり、ナード糸をもっと確保できたらいいのに)

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