結ばれないはずが、一途な彼に愛を貫かれました ~裏切りと再会のシークレット・ベビー・ラブ~
 アルベルトは両手を頬に充てると、懇願するようにソフィアを見つめた。熱のこもった瞳に充てられたソフィアは、両目を瞑ると生暖かい感触がそっと唇に軽く触れた。一秒、二秒、アルベルトの唇は触れたまま小刻みに震えている。

 懐かしい感触に、ソフィアの胸も震えていた。もう、この人とキスをすることなんてないと思っていたのに——、嬉しい。もう、懐かしいだけの感触ではない彼の熱が、彼が欲しい。

 しばらくして熱が離れると、ソフィアは寂しさを感じて目を開いた。目前にはどこかふっきれたような、優しい顔をしたアルベルトがいる。

「あぁ、……ソフィア」
「どう? 何か思い出した?」

 ジッとソフィアを揺れる瞳で見つめたアルベルトは、こくんと頷くと言葉を失くしている。紺碧の瞳の目尻から、ツーっと涙が流れていく。アルベルトは静かに、だが胸を震わせて泣いていた。——記憶を取り戻している。

 彼の瞳が物語っていた。記憶の中のソフィアと今の彼女を重ねるようにして見つめると、頬に触れていた手が下に降りていき細い体を抱きしめる。

「あぁソフィア、ありがとう。君のお陰で思い出すことができた」
「アル」

 ソフィアを固く抱きしめたまま、アルベルトは言葉を繋いだ。

「確か、あの時も夕日がきれいだったよね。君と初めてこころが通いあって、初めてキスをした」
「アルベルト……」

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