結ばれないはずが、一途な彼に愛を貫かれました ～裏切りと再会のシークレット・ベビー・ラブ～

　二人が抱き合っていると、蟹を海に帰したリヒトがソフィアの元に駆け寄ってくる。思わずソフィアはアルベルトの腕から身体を離した。

見知らぬ男性と話しているソフィアのところに来ると、リヒトは抱っこをせがんできた。きっとただならぬ空気を感じ不安になったのだろう。ソフィアは両手をだしてリヒトを抱き上げた。

「蟹さんはお家に帰った？」
「うん、帰ったよ」

　リヒトが可愛らしく返事をすると、その様子を見たアルベルトがソフィアに話しかけた。

「ソフィア、その子は……僕との間にできた子だね」
「それは」

　ソフィアが腕の中にいるリヒトをギュッと握りしめると、まだ幼いリヒトは何事がおこったのかと驚いてソフィアを見上げた。

「その子の髪の色と、瞳と、顔つきまで僕にそっくりじゃないか。年のころも、あの時の僕たちの間にできた子だよね」
「……っ、違う、違うわ」
「ソフィア、どうしてそんなわかりきったことを」

　リヒトの髪の色は深海を思わせるセルリアンブルーの色をしている。紺碧の瞳も髪も、今目の前に立つアルベルトと憎らしいほど同じ色をしている。

　これまで必死になってリヒトの存在をアルベルトから隠してきたから、問われると思わず否定してしまう。隠しきれないとわかっていても、アルベルトがどう思うのかわからずソフィアは混乱してしまう。