結ばれないはずが、一途な彼に愛を貫かれました ~裏切りと再会のシークレット・ベビー・ラブ~
 焦るソフィアとは反対に、リヒトは首を伸ばしてアルベルトを見つめていた。そして、手に持っている指輪を見た途端に声を上げる。

「あっ、その指輪! それ、どこで見つけたの?」
「リヒト!」
「その指輪は僕のと一緒だ。ママが、パパが僕に残してくれた指輪だって言っていたんだけど、どっかいっちゃったんだ。ママ、これって同じだよね!」
「リヒト……」

 かつては寝る前にリヒトに見せて、パパからのプレゼントだと教えていた。そのことをリヒトはしっかりと覚えていた。ソフィアがいくら隠そうとしても、リヒトが全てを明らかにしてしまう。

「そうか、ママが、この指輪はパパがリヒト君に残したって、言っていたんだね」
「うん、同じだよ!」
「僕も嬉しいよ」

 ふっと微笑んだアルベルトは、ソフィアにしがみつくリヒトと視線を合わせるようにしゃがみ込むと手を差し伸べた。

「リヒト君っていうのかな。はじめまして、僕はアルベルトっていうんだ。よろしくね」

 ソフィアと初めて会った時と同じように、アルベルトはリヒトと握手をしようと手を伸ばした。リヒトはおそるおそる、自分と同じ髪と瞳の色をしている彼を不思議そうな顔をして見上げた。

「ぼくと同じ色だ」
「そうだよ、リヒト君と同じ色だ」

 二人が並ぶと、親子としかいいようのないほど顔が似ている。顔をくしゃりとさせたアルベルトが、優しい声でリヒトに言った。

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