結ばれないはずが、一途な彼に愛を貫かれました ~裏切りと再会のシークレット・ベビー・ラブ~
兄が死んでから半年も経つのに、一向にお腹が大きくなることもない。ローズは妊娠などしていなかった。
 
最初からローズは兄を騙していた。妊娠をチラつかせて兄と結婚できれば大富豪の妻になれる。結婚した後で流産したことにすればいいと思っていたようだ。だが、その兄が死んでしまい目論見が外れる。

焦った彼女は見目の良い弟のアルベルトが帰って来たのを見て、彼に乗り換えることにした。アルベルトは結婚したいと思っている女性がいたが、反対にその記憶を利用しようと隣国に伝わる『秘薬』を手に入れて——、アルベルトの直近の記憶をすり替えることに成功した。

愛する女性はソフィアからローズだと、催眠術を使ってすり替えていた。だが、完全に替えることのできる都合のいい薬や術など存在しない。

アルベルトの子どもをローズが妊娠すれば全ては丸く収まるハズだったが、当の本人は何かを感じ取って一向に手を出さない。そのことに次第に焦った彼女は、他の男と淫行に走って——、その現場をアルベルトが見てしまう。

自作自演の流産騒動を起こし、最後まで抵抗したが——、結局全ての嘘が判明した。

 元々違和感のあったアルベルトは、珊瑚色の女性の肖像画を見た時に記憶の混乱があることを確信し、密かに調べていた。自分の中の記憶と事実に乖離があることに気がついていた。

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