結ばれないはずが、一途な彼に愛を貫かれました ~裏切りと再会のシークレット・ベビー・ラブ~
海辺で
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海辺で遊んで疲れたのか、リヒトはソフィアの腕の中でウトウトしたかと思うと、眠り始めてしまった。
「ああっ、もう。リヒトも重くなっちゃた」
それでもソフィアは抱っこをしたまま運ぼうとしたところで、アルベルトが声をかける。
「その、良かったら僕が抱っこするよ」
「アル? もう寝ているから重いわよ?」
「見損なわないで欲しいな、これでも鍛えているから子ども一人なんてわけないよ」
「そう? なら、抱っこしてくれる? 起きちゃったら、歩いて帰るわ」
ソフィアはリヒトをそっと渡すと、アルベルトはズシリとした重さを感じたようだが、しっかりと抱き上げた。
「子どもは重いんだな」
「リヒトはこれでも、他の子に比べると小さい方なの」
「でも、骨格もしっかりしているし、身体も丈夫そうだ。身体はこれからいくらでも大きくなるよ」
「そうかしら」
「大丈夫だ」
アルベルトの言葉に、ソフィアはこころの中の不安が解消されていくようだった。話すべきことはたくさんあるのに、嬉しさでことばがでてこない。
「ソフィア、馬車を待たせてあるから、このままホテルに行こう。君ともう少し話がしたい」
「アルベルト、でも……」
「それに僕も、リヒト君をもう少し抱っこしていたいんだ」