結ばれないはずが、一途な彼に愛を貫かれました ~裏切りと再会のシークレット・ベビー・ラブ~
「ソフィア、許してくれ。君を守ることをできなかったばかりか、僕自身が傷つけていた。こんな愚かな僕だけれど、これからは君を支えたいんだ」
「アル、アルベルト……」

 静寂な時間が流れていく。ソフィアは何も言えずにいると、ベッドに寝ていたリヒトがもぞもぞと動き出して「うーん」と唸る。もしかしたらおしっこをするかもしれない、とバッとソフィアは立ち上がり、アルベルトの手を振り払った。

「ちょっと待って、リヒトが起きちゃうから!」

 本当はもっと静かに語り合いたいけれど、高級なホテルのベッドの上でおもらしをさせるわけにはいかない。

 目を擦りながら起き上がったリヒトに「トイレに行く?」と聞くと、やはり「うん、行く」と答えた。そこからは慌てて部屋の中のトイレにリヒトを連れていく。

 ようやくホッしたソフィアは、リヒトを抱きしめると「トイレに行けてえらかったね」と褒めると、リヒトはにっこりと笑った。

 まだ寝ぼけているのか、普段暮らしている部屋との違いに驚いているのか、リヒトはキョトンとしている。アルベルトも緊張を解いたのか、顔を緩めてリヒトを温かい目でみていた。

「リヒト君が起きたなら、とりあえず夕食にしよう。部屋に持ってくるように伝えてある」
「そんな、夕食までいただくなんて悪いわ。もう暗いし、道も危なくなるから帰ります」
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