結ばれないはずが、一途な彼に愛を貫かれました ~裏切りと再会のシークレット・ベビー・ラブ~
「ソフィア、今夜は君とリヒト君でこの部屋を使ってくれ。明日からのことはまた別に考えるとしても、もう外も暗いし、心配なんだ」
「でも」

 はっきりと返事をしないソフィアに構わず、アルベルトは給仕係を呼んでしまう。それが終わると今度はリヒトに向かって話し始めた。

「リヒト君、今日はこの部屋にお泊りしてみないか?」

 リヒトと視線があうように膝を曲げて、微笑みながらアルベルトは聞いた。するとすぐに元気な答えが返ってきた。

「僕、ママと一緒なら泊まりたい!」
「リヒト!」

 好奇心旺盛なリヒトは、迷うことなく返事をすると部屋の中をぐるりと見まわした。

「ママ、すごいお部屋だね。お城の中みたい」
「もう、リヒト……」

 ここまでリヒトに期待させてしまうと、今さら帰るとは言いにくくなってしまう。けれど、アルベルトと同じ部屋で休むことにはまだ抵抗がある。まさか、リヒトを置いて帰ることもできない。

 そんなことを悩んでいると、アルベルトはソフィアに気を聞かせて説明してくれた。

「ソフィア、大丈夫だよ。僕は隣の部屋を執務室にしているから、今夜はそっちで休むから」
「アルベルト、いいの?」
「あぁ、さ、夕食にしよう。今日はあったかいクラムチャウダーだよ。リヒト君は好きかな?」
「クラムチャウダー? ママ、なにそれ」

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